2022/1/13
いつの間にやら2021年が過ぎ去り、2022年になってしまっていた。
その間、世界はどんどんおかしな方向へ進んでいくし、自分の酒量は増えるばかり。

そんなDROWNな世の中のみんなへ朗報、約1年ぶりのリリースは愛しの国フィリピンからのニューカマー「Ploverstream」による1stAlbumです。
正直、以前Kentucky Kingsをリリースした時点で、あのリリースが自分のレーベルとしての到達点かなと思っていたのだけど、まだ続きます。
(このリリースで好反応が無ければもう続ける意味もないな、くらいの考えと想い入れがありました。)

というのも、やはりレーベルと名乗るからには、自分がリリースしたいバンドの目安というのが個人的にはいくつかあって。
まずメロディが良いのは大前提ですが、スピード感や粗さ、知名度の低さ、フィジカルリリースの有無、あとパンク度(これは私的な謎指針ですが)等々。
他にも所在不明感のある意味不明な奴ら、なんてのもビビッときちゃうんだけど、Kentucky Kingsは自分の掲げるレーベルカラーのほぼ全てを持ち合わせていたのですね。

今までずっと無理に聴いてもらうつもりはないし、誰か物好きな人が聴いてくれりゃいいや、こんなに良いんだからいずれ誰かが気付くさ。
そんで、誰かのアンテナに引っかかってそれがどんどん広がっていけばいいじゃないか、なんて他力本願な淡い考えでダラダラやってたんだけど。
実はずっと気付いてました、結局は自分で大したことしてないんだから気にかけてくれる人なんているわけもないんですね、これが。
そりゃそうだ、笑っちゃうよ、ただでさえ狭い世界の無人島で独り言呟いてるようなもんなんだから。

でも正直レーベルは趣味の延長なので自分で納得のいく出来の音源を世に少しでも送り出せたらそれで満足なのです、というのが本音。
それには協力してくれるUNDERGROUNDなバンド達がいて、こんなレーベルからでも出そうと言ってくれる彼等がいるから成り立っているので本当に感謝してます。

あと、今回リリースするPloverstreamにはもう1つ自分の中で持ち合わせている目安である「情景が浮かぶ楽曲」を彼等は奏でていて。
音楽と自身の視界は密接な関係にあると常々思っているので、彼等の音を聴いた際、景色に色が宿ったのですぐリリースを持ち掛けました。

その他にも大事な要素として「ルックスが冴えない奴ら」という重要なポイントもあるのですが、それはここだけの話にしておきましょう。

てなわけでフィリピンのPloverstreamによる1st「Hand in Hand」、ボーナストラック含む11曲入りで歌詞対訳付き。
是非お見知りおきを。



2020/9/3
インドネシアのAcheに続き、同国のWAXTAPEというバンドのデビューEPをリリースし。
立て続けにパラグアイのKentucky Kingsというバンドのデビューアルバムも先日リリースに至った。
更に、近日イスラエルとフランスから成るThe Limitsという5人組バンドのデビュー作もリリースさせて頂く。

自分でも驚くが、2020年に突入してから既に4作リリースする事になる。
やりたい時にやって、出したい時に出す、というマイペースと言うにはダラダラし過ぎたスタンスを始めた当初から掲げていた自分としては異例のリリースラッシュである。
流石に当面何かリリースする予定はないが、正直年1ペースすら怪しかった活動が活発化したのは多少の要因があると思っている。

もちろん1番の要因は「このバンドの音源をリリースしたい!」と強く思えるバンドと運命的にも出逢う事が出来たからであるが。
やはりもう1つの要因は環境の変化、ディストロを始めた当初は静岡県清水市に住んでいて周りに友達もあまりおらず、暇を持て余していた俺は暇つぶしの一環でディストロを始めた。
興行師の康芳夫も、興行を始めたキッカケは暇つぶしだと言っていたので、当時10代だった俺は「俺も似たようなもんだなあ」なんて見当違いの事を思っていた記憶がある。

現在、9月1日で奄美大島に移り住んで2年が過ぎ去った。
この島に来る前は東京に10年間住んでいたわけだが、ほぼ毎日のように友達と酒を呑んではフラフラと街を徘徊する様な日々を過ごしていた。
そのような日々はある意味非常に充実した時間であったわけだが、今思えば、あまりにも時間のコントロールが疎かになっていた様な気がしないでもない。
それに比べ、今の生活はある程度時間のコントロールが出来るし、午前中に仕事が終われば午後はほぼ自由な時間にあてられるので自分の時間を確保しやすくなった。
そこまで暇というわけではないが、感覚的には昼夜逆転していた事を除けば、静岡に住んでいた時の生活リズム(時間配分)に近いなと最近になって実感している。
フィーリングの話なので意味不明かもしれませんが、自由時間の多い学生時代に戻った様な、とてもフレッシュな気持ちで毎日過ごせているのだ。

俺の友達からすれば相変わらずアイツはふざけた人生送ってんな、なんて思われてそうだが、奄美でも周りからそう思われてるのでもうどうしようもない。
曲がりなりにも、俺の人生を笑ってくれたり、こんな生き方もあるんだなと気が楽になってくれる方が時折いるからこんな俺も救われたりする。

思えばスーツを着て仕事をしたことがないし、つまらなければ仕事はすぐ辞めていた、ただ、今まで仕事に困ったことがないのは我ながらふざけてるなと思う。
奄美に来て短期や副業も合わせると6、7の仕事をしたが、その全てが周りの紹介であった、そういった変な運の強さや、人間関係の構築には昔から長けていた。

話は逸れたが、やはり自分の時間を好きに使えるタイミングが増えた、ってのが今年のリリースラッシュの大きな要因だと思う。
もちろんリリースしたいなって思えるバンドが今後現れなかったらもう一生リリースする事はないかもしれませんし、俺自身が別の事に没頭するかもしれない。
ただ、俺は何事も無理のない範囲でやりたい時に気楽にやりたいだけで、レーベルに節目を付けるつもりもないし、趣味の1つに気負うつもりもさらさらないよってことです。
(そんな気持ちでレーベルなんてやるもんじゃない、なんて過去に言うひともいましたが、逆に大企業でも経営してるつもりかよ?って内心笑ってました。)

で、今回の本題、次回リリースするThe Limitsというバンド。

出会いはギターのValが以前やっていたバンドを経由してなのだが、そのバンドに関しては意識の違いや、クレジット、曲の権利等であまりいい思い出はないらしく、今は友達とも思っていない様なので割愛。
もちろんマーケティング的にはそのバンド名を出した方が売り出しやすいんだけど、The Limits自身が有名になるつもりも、売れるつもりもない、みたいなこっち寄りの考えなので俺達は細々とやっていきましょって感じなのだ。
(あのバンドは結構MVとかもあるし、来日経験もあるバンドなのでValを観たら気付く物好きな方がいるかもしれないね、ちなみに俺はいくら売れ線志向だろうがあのバンドも大好きです。)

The LimitsはValの奥さんLauraがVoを取ってて歌詞も1人称は女性、内容は過去や現在から逃避したい変革願望系ですが、全体的に思ったより暗くて意外と若い方にもウケそう。
音は聴けば聴く程身体に馴染む浸透性の高い楽曲が魅力で、曲の長さも1分台が過半数を占めてる。
個人的には長ったらしい曲があまり好きではないのでこの手の音が1番好きなタイプだったりして。

今回はギターのOmerが長年憧れだった紙ジャケット仕様にしたので多少売値が上がってしまいますが、歌詞・対訳付きの日本盤仕様として購入をご検討頂ければ幸いです。
9月中にはリリース予定で、とても良い音源になりそうなのでもしよければ手に取って聴いてみてくださいね。

台風10号が近づいてる奄美大島の自室より。

クマノミ 漁民と私 近所の海 アカマンボウ



2020/2/24
インドネシアのバンド、AcheのTired EPという作品が2020年3月4日に日本盤としてリリースする。

imakinn recordsのいまきんから一緒にリリースしよう、という話をもらってからだいぶ経ってしまったけれど、いい作品なので是非聴いて頂きたい。

2019年3月、期間限定のサトウキビ狩りのバイトを終え、暇を持て余していた俺は漠然とどこかへ行こうと考えていた。
同年4月、今思い返すとAcheリリースの話を聞いてなのか覚えていないが、奇遇にもインドネシアへ8年振りに降り立った。

関空のロビーで夜を明かし、クアラルンプールを経由してスカルノ・ハッタ空港へ着いた俺を出迎えたのはAcheのメンバーTirとRejected KidsのAgu。
奄美を離れてから30時間以上経っていたが、東南アジアらしい排気ガスの香りと、どこかヒリヒリした夜の街に身体が順応し、心地よさを感じたのを覚えている。
(その後、旅の移動は終始ほぼ原付だったのでケツに関してははあまり心地よくはなかった。)
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それから約2週間、地元のライブを観ては皆と夜の街を駆け、毎日明け方まで遊び倒した。
規制強化で酒がだいぶ限られた場所でしか手に入らなくなっていたのには閉口したが、とても良い時間を過ごさせてもらった。

印象的だったのはムスリムの国だがクリスチャンはもちろん酒を呑むし、ムスリムも少しバツの悪そうな顔をしながらも酒を呑む奴もいるという事。
また、基本的にショッピングモールのような大型店でしか酒を販売していない現状だが、各町に法の目を盗んで販売する店舗※や、密造酒が多々存在する事。
(※バリのようなリゾート地では酒はオープンだが、庶民的な街では一見普通の雑貨屋やタバコ屋の様な小さな店舗で密かに酒を販売している、冷えてはいないが。)

また、ライブイベントに関しては僕らの様なニッチなバンドがやっているように、自分達で自分達の遊び場を作って夜な夜なライブ企画を打っている事。
ずっとつるんでいたElang Terbang Kolektifという集団はAcheやHong!といった仲間達による11名のイベント団体。
ほぼ毎週1回ペースでどこかの家やスタジオを利用して企画をしてる(その数、既に400回以上! Accidente等、海外バンドの招集にも意欲的だ。)
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インドネシアの不安定な情勢や政府の弾圧等、様々な不満を抱えている国だからこそパンクバンドが多く生まれている背景も頷けるし、実際に色んな奴の話を聞くと多くの不平不満を嘆いていた。
ただ、その反面、ウジウジと下を向くのではなく、そんな現状をポジティブに噛み砕いて、1日1日を精一杯楽しんでいる奴らが多く居る印象も強く受けた。

彼らにも当然家族や生活があって、色々大変な毎日だけど、それでも音楽が好きだから各方面から原付に乗って皆が集まって来る。
毎晩深夜まで遊んでいて明日大丈夫か?と茶化すと、「俺達はタフだから問題ない」と皆が笑って言うのが印象的だった。

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俺は今、鹿児島県の奄美大島という島に住んでいるんだけど。
時折、「島に来たからには何かビジョンがおありなのでしょう?」なんて聞かれたりするし。
「何か特出したものや、将来の展望がないとやっていけないよ」なんて言われたりもする。
(そういう事言うのは先輩風吹かせたい島外出身者に多い気がするね。)

でも俺からすればそんなのマジでどうでもいいし、クソ食らえだといつも思ってる。
俺は単純に釣りと海が好きだから来ただけで、行動を起こすのにそこまで大層な理由が必要なのか?って感じだ。

自分の人生なのだから俺は好き勝手やってたいだけだし、人からとやかく言われるのも大嫌いだ。
好きな事以外の向上心なんて1ミリも無いのに、「私は今後この様な行動を起こして、より良い改革を目指します」なんて言えるわけもない。

明日死ぬかもわからんのにこれからどうなりたいとか、未来の事とか、正直どうでもよくて、俺は無責任だから、今が楽しければそれでいい。
そして、ノー天気に生きて、毎日酒を呑んで、海を眺めて、それなりに友達もいて、生きていくだけならどうにかなってる現状にも結構満足してる。

尋常じゃない数の転職をしてても、俺みたいな人間がどうにかなるさのお気楽根性でどうにかなってるんだから、人生適当に生きてるくらいが丁度いいのだ。
はけ口が無く、SNSで嘆くしかない現状に満足していない人や、人生に迷ってる人はアクションを起こしまくるか、うちに泊まりがてら海を眺めに来ればいい。

インターネット上に書くのも変な話だけれど、海はインターネットの世界よりも広々としていて、豊かで、厳しいから、俺はここに来たのかもしれないね。
職場風景 山奥の家 クマノミ 夕日



2019/10/15
昨年の初めにリリースが決まったドイツのLÜGENというバンドの日本編集盤をようやくリリースするに至った。
元々は彼らのLPをディストロしていたところから広がった話であるが、紆余曲折あり、だいぶ時間が掛かってしまった。
言い訳しても仕方がないので素直に書くと、ほぼ大半が私の怠慢による遅延です、すいません。

彼らの音は暗闇に差し込む一筋の光を見るような、ダークでドラマチックなメロディが特徴。
歌詞や姿勢は女性の権利を訴えるフェミニズム系であると共に詩的な傾向が強く、中々に屈強な意思を感じます。
ありそうでなかったかっちょいいサウンドを放つバンドだと思うので是非聴いてみてくださいね。

また、奄美の人達には「ゴキブリみたい」と大好評なうちわも発売中です(200円)。
来年も使える「未来見越してる」系の「宣伝忘れてた」型マーチなのでよろしくね。

気づけば10月になり、徐々に島も朝晩は過ごしやすい陽気になってきました。
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2019/06/15
奄美大島へ思いを馳せ、下道縛りでノンビリ東京から南下し始めたのが2018年8月1日。
行く先々で出会いと別れを繰り返し、驚異の31日連続晴天の後、奄美大島に上陸したのが同年9月1日。
(思い返せば、この歳になっても青春と思える日々を過ごす事が出来た思い出深い1ヶ月であった。)
それから今現在の家に住み始めたのが9月下旬、で、2019年6月ようやく家にインターネットが繋がりました。

というわけで沈黙の期間出向いたインドネシアモノや、ちょこちょこ温めてたブツをアップしました。
リリースも少し決まっていまずが、相変わらずなペースでやっていくのでどうぞよろしく。

※2018年9月~2019年6月までインターネットも無く、何故かパソコンも壊れたのでメールが一切受信出来ませんでした。
その間にメールを送っていただいて、送信エラーになってしまった方々には大変ご迷惑おかけしました、申し訳ありません。
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2018/01/13
明けました2018年もどうぞよろしく。

年越しから年明けにかけてインド~ネパールへ行っていたのですが。
意図せずして2017年最後の晩餐をお葬式会場で頂いたり、年明け早々、貴方は92歳まで生きると言われたり(ちょっと長いねえ…)。
ガンジス川を眺めながら、ねこぢるじゃないですが「日本もインドみたいなデタラメな国になればいいのに」なんて考えていました。

帰国した今は日本最高だなって思っています。

相変わらず「忙しい貴方の為の~」とか電車の車内広告とか見るとゲロ吐きそうになるけど。
僕は、勝手に無関係を決め込んで、適当に生きているので実際はどーでもいいのだ。

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イギリスのHOLIDAYによる編集盤が完成しました。
歌詞対訳付きなのでレコード派の方もよければ手に取ってみてください。

私的にですが、昨年は2016年に出逢ったベスト音源をCD化させて頂き。
今年は昨年のベスト作を編集盤としてリリースしたりと、レーベル冥利に尽きる動きが出来て嬉しいです。

次作はまだ未定ですが、声をかけて頂いたのでちょっと嗜好の違うリリースがあるかもしれません。
今年も、たまに気にかけてもらえたら幸いです。


2017/05/29
次回リリースはまだ先になりますが、イギリスのHOLIDAYというバンドの現時点でのディスコグラフィー盤をリリース予定です。

このバンドは、2015年、自分がイギリスに行った際に出逢ったGROVER(未だ現役!)というバンドの兄弟も在籍しているバンドなのですが。
当時は存在を知らず、後日、does it floatの松本がセルフタイトルの7インチを聴かせてくれたのをキッカケに存在を知ました。

その時は、いい意味で古臭くもイギリスらしい音だなあ・・、程度に思っていたのですが。
今年出た新作「California Steamin'」があまりにも素晴らしく、卒倒した私は、この音源のCD盤を作ろうと彼らに持ち掛けました。
それから話をするうちに、せっかく出すなら今までの作品を全部ぶち込みたいというメンバーの意向もあり、編集盤のリリースが決定、現在に至ります。

色々と忙しい彼らなので、進捗はゆっくりですが、面影は見えているので、心の隅に置いといて頂ければ幸いです。

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ここ10年を振り返ると、何てあっという間だったのだろうと思うと同時に、楽しい事ばかりであったなとふと思う。
文字にするとあっけないが、10代後半の頃の心模様を思い返すと信じられないような心境の変化なのだ。

何となく30代に突入した私のモラトリアムはとうに終わっていたのかもしれない。

元々内向きな性格で、現実から目を背けて日々を過ごしていた。
常に自分の人生を第3者目線で見降ろしているような感覚であった。

そんな宙ぶらりんな私が自身の現実を、少し見つめた出来事がある。

ある時、ヘルニアという病になり、歩行すら困難になった時期があった。
仕事もままならなくなり、会社から休みをもらっている間、私は単身沖縄へ行った。

その時、何があったわけでもないが、非常に新鮮な気持ちであったのを明確に覚えている。

写真に写る自分は、真っ直ぐ立っているつもりが腰は常に曲がっており、表情は虚ろ。
だが、その頃を境に、内向的な自分の心は徐々に溶けていった。

外よりも部屋で過ごす事が多かった私の1人旅が増えたのもその時がキッカケだったかもしれない。

ある時は八丈島に1人で行き、地元の方に絶対止めておけと言われる中、面白そうだからと悪天候の八丈富士に登った。
もちろん登山者など1人もおらず、どうにか山頂に着いたものの、深い霧の為、視界は1メートル先すら危うい状況であった。
八丈富士の名物に「お鉢巡り」という頂上の噴火口をぐるりと廻るコースがあるのだが、そのコースの半分程に差し掛かり、後悔が押し寄せてきたその時。
立ち込めていた深い霧が一筋の風と共に一気に晴れ、突き抜ける様な空と真っ青な海が眼下に広がったその瞬間から、私の心は八丈に置いてきたままだ。

何処かへ行きたいと思えば仕事を辞め、フラフラと外の世界へ赴き始めたのもこの頃。

携帯端末など持たず、ベトナムの見知らぬ街で路頭に迷い、雨に打たれながら1人歩いていた時に颯爽とバイクに跨ったオヤジが話しかけてきたその瞬間。
タイからラオスへの国境を徒歩で越えたものの、足がなく(大概はツアーバスで入国する)、埃っぽい道を数時間歩き続け、後方からピックアップトラックが来たその瞬間。
カンボジア行のバンの中で出逢い、宿の部屋をシェアし、昼は自転車で走り回り、夜は共に酒を飲みあった友人と行先の違いで別れたその瞬間。
台湾の台南で田舎町を巡り、真夏の風を肌で感じたと思えば、突然のスコールに上着を脱ぎ捨て、自転車で走り出したその瞬間。

そんな刹那的な一瞬に心躍らせ、その土地の匂いや空気感まで鮮明に思い出す様な、そんな出来事を常に求めてここ数年は過ごしてきた。
今では毎週のように各所へ釣りに出向き、最近に至ってはサーフィンを始める始末である。

斜に構えていた私が、今はこんなにもシンプルに日々を楽しんでいるのが不思議でならない。

心の何処かで捻くれ者の自分が舌打ちをし、ぬるくなったなとしかめっ面をしている。
その反面、「これでいいのだ」と言っている自分がいる。

何より、自分に素直になれない人間が人生を楽しめるはずもないのである。

経過と共に気持ちの変化はもちろんあると思うが、結局自分は哀しそうなフリをしていただけで、本当はただ楽しく生きたいだけだったのかもしれない。
もちろん、自分に限らず、誰だって本当は楽しく生きたいと思っていると信じたいし、私自身は誰よりも楽しく生きてやろうと今では思っている。

日々は常に変化しているから、楽しい事ばかりでないのは百も承知。
しかし、もっと日常を気楽に捉えてもいいはずなのだ。

奇しくも、次回リリースの1曲目で、HOLIDAYは「Let's Go Outside」と唄っている。


2017/01/20
少し遅れてKerbivoreのCD版が完成した!
Amazon等の流通は2/22からですが、先行して下記レコードショップでは発売中。
要チェキでヨロシク。

waterslide records
SP records
Record Shop BASE


2016/11/16
みんな元気にしてる?
夏が終わって、僕は1か月くらい調子が悪かった。
というのも、9月の日照時間は平年の半分以下だったそうだ。
そりゃ体調も悪くなるってもんだよね。
でもダウナーになってばかりもいられない。
12月にはKerbivoreというバンドの"All Dressed"という強力なCDをリリースするんだ。
自分のレーベルから出す作品にはもちろん毎回思い入れがあるけど、今回の音源はいつも以上に思い入れが強い。
なんたって2016年に自分が出会ったベスト作品がこの音源だからね。

この音源をリリースする経緯は、まず自分がこのバンドの作品をディストロしていた事から始まる。
初めて彼らの音を聴いた時、自分は正直参ってしまった。
流れるような旋律にダイナミックな展開、疾走するビート、大陸的でもあり都会的でもある不思議な音像。
僕はこんなCOOLなバンドがいるなら少しでも多くのリスナーに届けなければと使命感を覚え、音源をディストロする事にした。
しかし、自分の力量不足なのか、単純に皆の好みではないのか、反応はほぼ皆無、想像以下の結果が現在も進行中である。

ちなみにこの"All Dressed"、本国ではUnblinking Earというレーベルからカセットのみのリリースとなっている。
自分もカセットという媒体は好きだし、否定はしないが、彼らの音をアウトプットするにはいささか不満を感じていた。
バンド本人達にカセットへのこだわりがあるかと聞いたが、ただ単純に最もローコストでリリースするのに都合が良かった、との回答であった。
ならば日本でCDとして出さないかと話を持ち掛け、少しでも流通に乗せて現状を打破する思惑が今作リリースに至った経緯である。

今回、CD化に当たって、カセットには記載のない歌詞も掲載、加え日本語訳も付属する事で差別化を図っている。
ついでながら、この日本語訳は彼らの音源をディストロした際、真っ先に反応してくれたdoes it float松本、の嫁・ヨシコさんが担当してくれた。

今まで以上にバンドと会話をし、思い入れもひとしお、なこの音源、是非みんなにも手に取って聴いて欲しい。
また、リリースする際に協力してくれたKerbivoreのショーン&トム、Unblinking Ear Recordsポール、disk unionいまきんには多大なる感謝を。
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