■Wagon (SWE)■

日本では完全に黙殺されているスウェーデンの4人組。
結成は92年、リリースは大まかに書くと3枚のEPと1枚のアルバムをリリースしてる。

ここからは聴き手の感じ方次第だと思うけど、個人的にはEPごとに違った表情が見れるので、そこに妙な魅力を感じたバンドだったりする。

このバンド、ずっと紹介したいバンドではあったのだけど、相変わらず重い腰が上がらなかった。
ひとたび何かをやるモードになると夢中になってやるのだが、そこに行くまでに時間が掛かる、昔からの悪い癖です。

というわけで、年1ペースくらいでの更新を目標としたディスクレビューコーナーを作りました。
初回が最終回にならないよう気を付けます。

Wagon
・Wagon - in bliss [demo] / 4songs CD (self)

自主制作のデビューEP、93年作。
あえて書くならこの時期はポカポカとした日当たりの良いショボポップパンク期か。
全体的にペラペラの演奏に牧歌的なメロディ、skimmerもビックリな抜群のコーラスワーク、最高じゃないかと。

そしてこの作品の1曲目「I'm still here」に私的パンクロックギターソロ史上"最も頼りない"単音ギターが間奏で炸裂します。
(※ちなみに間奏のギターソロ部門、歴代堂々の1位はダントツでsixty storiesの「silence song」です。)
ほんで2曲目の「right」なんかものっけからトレブル上げ過ぎな聴き手に優しくないキンキンギターで幕を開けて実に痛快。

3曲目、4曲目に関しては、前半が良いバンドに良くある失速傾向は否めないですが、どこか憎めないメロディがいい味出してる。

といってもこのバンド、基本的にどのEPでもサビには歌心あるメロディ持ってくるから安心して手に取って欲しい。
というわけで1st EPはジャケットの雰囲気まんまの片田舎に住む若者によるホンワカポンコツポップパンクでした、名作。

・Wagon - A Ripsnorter For The Bobbydazzlers / 5songs CD (Kakan/Kungen & Co)

で、こちらが陽から陰へシフトチェンジした94年発表の2nd EP。
こっちはしょっぱなからガラリと雰囲気変わって、1年で何があった?ってくらい普通にメロディックしちゃってる。
1曲目の「Apple Of My Eye」なんてブラジルのRivetsはBAD RELIGIONよりWagonに影響受けてるんじゃないか?と思ったくらい。

かと思えば2曲目の「Bob」ではシンミリした曲披露しちゃうし。
3曲目の「My Slingshot」は1stと3rdの中間とも取れるダークでメロディアスな曲を。
続く「Major Moodswitch」は1stの亡霊が見え隠れするポップに跳ねるリズムがイカす。
そしてラストは1stヨロシクな単音から3rdへの片鱗を感じさせるダイナミックな曲で〆。

全体通して派手さはない2ndですが、今作も1曲目が素晴らしいので侮れません。
楽曲の路線的にモコモコしてる録音状況が少し残念ではありますが・・。

・Wagon - Rock'N'Roll Cruise On The Gravelled Path Of Indie / 5songs CD (Kakan/Slack)

96年作、バランス感が格段に良くなった3rd EP。
今作は音圧も演奏も向上して普通に上質なロックしてて個人的には1番好きな1枚。

というのも、1曲目「c/o」はweezerし過ぎててアレですが。
2曲目「When Dawn Breaks We'll Be Gone(タイトル最高)」でWagon史上最高のサビ & 鬼名曲を持ってきてるからです。
(昔、仕事の運転中、シャッフルでうっかりこの曲が流れてしまい、ハンドルに突っ伏してしまいそうになった経験アリ。)
未だにこの曲のイントロが流れると、その時点でサビに行くまでがちょっとヒヤヒヤするので心が荒んでる時に聴いてはダメです。

そして続く3曲目は箸休めとして、4曲目の「Loudmouth」でこれまた完成度の高い佳曲を持ってきてます。
こちらも2曲目には及ばないにしても、実に歌心溢れるサビで、日本人好みなメロディ書くの上手いなあと。

で、ラストはイントロのハーモニカが印象的な「California」で切なく幕を閉じます。

基本的には後期doughboysヨロシクな歌心溢れる大陸的な1枚なんだけど、やっぱり2曲目の破壊力が突出してるかな。
ちなみに、この音源は今見たら(2020年5月19日現在)魔境discogsで安く出てるので興味あったら聴いてみて下さい。

(※ここまでの3枚はことごとく歌詞の記載がないという欠点はありますが、もしよければ1枚ずつ聴き比べてみてね。)


このホームビデオみたいな動画の冒頭で1st EPの「I'm still here」、2曲目で3rd EPの「When Dawn Breaks We'll Be Gone」が少しだけ聴けるぞ!

・Wagon - Under The Looking Glass ‎/ 12songs CD (Borderline/Slack)

そしてついに3枚のEPを経てアルバムの登場、97年作。

完成度の高いEPを残してきただけに集大成となるアルバムに期待は高まるんだけど。
これが蓋を開けて見ると全てが中途半端で、何とも煮え切らない作品に仕上がっちゃってるんだな。

なんというか、全部がどっちつかずというか、全体的にボンヤリした同じような曲が多くて、EPで聴かせてくれたあの歌心は何処へ?って感じだ。

強いて言うなら3rd EPを麺棒で伸ばしてコシのないうどんに仕上げた感じかな。
ジャケットは個人的に大好きなんだけどね。

と、まあ書いてみたものの、やはり愛すべきWagon、改めて今作を聴いてみたらまあ悪くもないってのが正直なトコロ。
このアルバムも突出した曲が無いだけで、改めて聴いたらパワーポップアルバムとしては全然聴けるじゃないか!
ほら、11曲目の「Unexpected Loss Of Teeth」なんて中々に良い曲ではないか!!

でも、アルバムとしての尺が長いんだよな・・、再録の2曲も元々あんまりだった曲だし・・。
やはり3枚のEPくらいの曲数でサクッと聴くのが丁度良いバンドだったのかも・・。

とまあ、モヤモヤと、ぼやけたアルバムを残し、99年にWagonは解散。

その後、主要メンバーはLow Season Comboとかいうなんだか面白味のないバンドを結成したりもしてましたね。

(なんだこの尻つぼみなレビュー・・、最終回決定!)
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